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編集便り

パン菓新聞社記者がちょっといい話をお届けします

アンゼリカ(東京都・世田谷区)

街のパン屋さん

※下北っ子に愛されてきたアンゼリカさんは、
2017年7月31日をもって
惜しまれつつ閉店となりました。
取材当日も、いつものように
みそパンやカレーパンを買い求めるお客さんが
ひっきりなしに訪れていたことを想い出します。


長い間、本当にお疲れ様でした。


外観

全国に名を知られる商店街の顔


東京都世田谷区の下北沢商店街にある同店は、
創業35年の老舗。
休日ともなると日本全国からお客が訪れ、
行列ができる名物ベーカリーです。
時を経てなお活気を失わない
同店のパン作りについて伺いました。



神戸のフロインドリーブで修業
創業者は若い頃にスポーツに秀で、
なんと力士を志していたそうです。

知り合いであった王貞治さんに
進路について相談したところ、
実家であるパン屋を継ぐことを
すすめられたとのこと。
神戸にあるドイツパンの名店
フロインドリーブに修業に入り、
伝統的ドイツパンや焼き菓子の製法をベースに
オリジナル商品を開発し、
人気を集めてきました。

現在は、創業者は引退し、同社の社員が店長を
務めていますが、下北沢は若者を中心に
人気のある街で、商店街に居並ぶ各店舗が
お互いに切磋琢磨し
魅力ある気風を作っています。

そのほぼ中心部に位置する同店は
ハード系から菓子パン、惣菜パン、焼き菓子、
ケーキなどが揃い、店長さんは

「家族みんなで食べてもらえる
 パン作りをめざしている」


と話します。



名物と新しい味の両方でお客をつかむ

みそパン
みそパン断面
▲信州味噌と西京みそのブレンドを
生地に練り込み、ゴマ、卵、バター、砂糖が
入ったリッチな生地


代表するパンは下北沢名物ともなっている
『みそパン』『カレーパン』です。

味噌とバターを使った和洋折衷とも言える
みそパンは、

「アンパン以外にも日本茶に合う
 パンがほしい」


とのお客の要望に応えたことがきっかけで、
誕生から25年のロングセラーとなっています。


カレーパン
カレーパン断面
▲池波正太郎先生も愛したカレーパンは
国産牛挽肉に特別に調合した
スパイス、ハチミツなども入れている


カレーパンは、実はドイツパンの生地を
応用し、揚げても油の吸収を抑えるように
工夫されています。
毎日、店で炊き上げる手作りのフィリングも
季節のフルーツから絞った
リンゴやアンズなどのフレッシュジュースを
隠し味に使用し、食べ飽きない味わいを
作っているそうです
(H25年2月15日号掲載)



【ショップ情報】
住所:東京都世田谷区北沢2-19-15
TEL:03-3414-5391
年末年始・火曜不定休

大英堂製パン店(東京都・世田谷区)

街のパン屋さん

外観

学生街のパン屋さんは
昭和の息遣いを伝える


明大前駅の程近くに佇む大英堂は、
昭和43年に開業。
店主がひとりで製造・販売を行い、
コッペパンを使用した惣菜パンなど
昔懐かしい味を伝え続け、
地域に愛されるパン作りを続けています。


唯一残っている昔ながらの大英堂
大英堂製パンはほんのり甘いコッペパンに
手作りの惣菜を挟んだ調理パンが有名な
チェーンベーカリーで、
東京都西部・城南地域を中心に
最盛期の昭和50年代前半には9店舗が
営業していました。


店頭
▲ガラスケースに並ぶパンは対面販売で。
  外戸はなく、オープンな構造

暖簾分けで店舗が増加したのですが、
現在、大英堂と名乗るのは下北沢店と
明大前店の2店のみであり、
下北沢はベーカリーカフェで
ハード系なども展開していることから、
昔ながらの大英堂の味を守っているのは
この明大前店だけとなってしまいました。


ポテトサラダ
▲シンプルな自家製ポテトサラダを
  たっぷり詰めた『ポテトサラダ』(115円)


ガラスケースに並ぶパンは12~3センチ程度の
小振りのコッペパンに、揚げたてのコロッケや
自家製の焼きそば、ポテトサラダなどを挟んだ
調理パンが中心です。

価格は100円の前半台が多く、
高いものでも150円台と非常に良心的です。


クリームボール
▲朝、パンを求める学生のために
手軽につくれるものをと先代が考案。
カスタードを包餡してフライにした
『クリームボール』(67円)


“パン自体に味があるから、具材も引き立つ”

というのが店の考え方で、
パン生地は粉に対して
2割強の砂糖を配合しており、
甘味が強く柔らかいのです。
昔のパン生地は皆甘かったそう。
それが懐かしさにつながるようです。
(H25年2月15日号掲載)



【ショップ情報】
住所:東京都世田谷区松原2-29-12
TEL:03-3322-0611
8:00~20:00(パン焼き上がりは11:00頃)
日祝休

サンドウィッチパーラーまつむら     (東京都・中央区)

街のパン屋さん

外観


“ホッとする店、安心できる店”を目指し
下町の社交場の役割を担う



水天宮駅近く、
下町の風情が色濃く残る地域に建つ同店は、
大正10年に創業。
約50年前から喫茶スペースを設け、
ベーカリーカフェの先駆けとも言える
パン屋さんです。
コミュニティーでの信頼も厚く
下町の“社交場”と言った役割も持ちます。



昔からの馴染み客と口コミを大事に
店の方針については、
「正直にパンを作ること」
社長さんは話します。
日清、ニップン、東京製粉などの
上質な粉を使用し、
おいしいパンをつくることを
心掛けているそう。

「口コミが大事。良いパンを作れば
 お客様がお客様を連れてくる」


また会長さんも

「昔、子供だったお客様が大きくなって
 家族を作り、子供を連れて
 買いに来てくれるのがうれしい」
と、

縦のつながりもある老舗の強みについて
語ってくれました。

ちくわパン
▲ちくわドック


提供するパンは、
昔ながらの代々受け継がれたものや、
新しくアレンジされた商品など約120種。
半分に切ったちくわを
ツナサラダの上にボンと乗せた
『ちくわドック』は人気商品。


仲良しコンビ
▲仲良しコンビ
右:ピーナツ&あんこ
左:ジャム&マーガリン

そしてイギリスパンにピーナッツバターと
あんこを半分ずつ塗り、
二つ折りにして食べてほしいと、
パン裏面に切れ込みを入れた
『仲良しコンビ』
は、
細やかな心遣いが下町人情をうかがわせる
ひと品です。
(H24年12月15日号掲載)


【ショップ情報】
住所:東京都中央区日本橋人形町1-14-4
TEL:03-3666-3424/日祝休

パオン昭月(東京都・世田谷区)

街のパン屋さん

昭月HP

家族一丸となって支えるパン屋さんは
地域に愛される商品づくりを目指す


駒沢大学駅から程近い世田谷区を抜ける
幹線道路、国道246号線から一本入った
交差点沿いに立つパオン昭月は、
戦後すぐに開業したパン屋さんです。
2代目となる社長である兄と店長である弟、
そして兄の2人の息子さんが運営しています。



1日400個売れるヒット商品も
10坪程ある工房には、歴史を感じさせる
オシキリのモルダー、
リバースシーター、三幸機械のオーブンなどが並んでいます。
4、5年前購入したミキサーもありますが、
古い機械は40年程も大事に
使い続けているそうです。
歴史を感じますね。


売り場面積は7坪程で、自慢のパンは20種ほど
提供する惣菜パンです。
特に『ハムカツサンド』(147円)には
こだわりがあり、淵に赤いラインの入った
レトロな味わいのボロニアソーセージを
使っています。

「息子が、“縁が赤くなきゃダメだ”って
 いうんだ」と社長さんは目を細めます。

ハムカツ
▲ハムカツサンド

また『生クリームあんぱん』(158円)は、
有名女優やタレントが推奨する逸品で
テレビなども取り上げられ、
多いときで一日400個売れる大ヒット商品。
このパンを求めて訪れる
遠方からのお客様も多いのです。

しっとりした生地に上品なあんこと
とろけるような生クリームが入っており、
同品の発売は14、5年前からですが、
「コッペパンにあんこなどをサンドして
 販売していたから、
 自然にこの組み合わせを思いついた」

とのこと。

生クリームあんぱんHP
▲生クリームあんぱん

接客では、パンの説明なり、世間話なり
気さくにお客にひとこと声をかけることに
気を付けているそうです。

このようにお客の声をよく聞いて
求められる味作り、
商品作りをしていくことが、
永続していく実力店となる鍵なのかな、と
思いました。
(H24年11月15日号掲載)

                                                     
【ショップ情報】
住所:東京都世田谷区駒沢2-18-11
TEL:03-3421-4831
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