編集便り

パン菓新聞社記者がちょっといい話をお届けします

ニコラス精養堂(東京都・世田谷区)

街のパン屋さん

大正時代に世田谷に開業
95歳の2代目現役社長

パンから和洋菓子まで常時100種類以上を販売する
世田谷の老舗パン屋さん「ニコラス精養堂」
1店内2 

松陰神社参道の土産物店として
銘菓『松陰饅頭』で親しまれたことは有名ですが、
その始まりはミルクホールと牛乳屋を営んでいた創業家が
関東大震災で焼け野原となった青山から移り住んできた
大正時代に遡るといいます。

その後は、軍御用達のパン製造に始まり、
戦中戦後の配給パン、学校給食パンと、
日本の歴史とともにパン屋を歩んできたそうです。

2人気6品 
中央が『松陰あんぱん』
創業100年記念に開発。
『松蔭饅頭』の黄身あんをベースにより瑞々しい味わいです。

自家製カスタード入りの
『甘夏ミカンミルクデニッシュ』
デニッシュ風ながら翌日もソフト感が続きます。(写真上)

3食パン 
『ニコラス食パン』
具材を塗ることを考えたシンプルな生地。
パッケージロゴもどこか懐かしい


4サンドイッチ類 
安くて驚くボリュームのサンド類は
飛ぶように売れていました。
くきわかめを野菜と挟んだ『スペシャルサンド』
ほうれん草入り食パンをつかった『グリーンサンド』など
種類も豊富です。

今後のテーマは町おこし。
現在、商店街仲間である
有名フランス料理店の店主らと
街を盛り上げようとコラボ企画を
進めているそうです。

SHOP DATA
【ショップ情報】
住所:東京都世田谷区若林3-19-14
最寄り駅:東急世田谷線松陰神社前駅目前
営業時間:8:00~20:00 日祝休

畑のコウボパン タロー屋(さいたま市・浦和区)

街のパン屋さん

季節の酵母が
オリジナルパンを生む

1.jpg 

小さな畑がぽつぽつと残る住宅街に
「畑のコウボパン タロー屋」はあります。
全てのパンは自家製パン用酵母種から作られ、
畑に植わったベリー類、柑橘類、野菜、ハーブ、
そして親戚や知人から届く季節の素材から
日々パンの種が生まれています。
2畑 



3キンモクセイ 
本格的な秋を迎える頃、
可憐な花を散らすキンモクセイ。
オーナーシェフの星野太郎さんは
満開時に花を摘みとり種を起こし
『キンモクセイ酵母のリュスティック』を作ります。
パンを噛むうちに、
可憐な花の香りがふわっと広がります。
“パンから季節を感じる”瞬間です。

4巨峰パン 
『巨峰酵母のデザートフォカッチャ』は、
巨峰の上品な甘味が濃縮された贅沢なパン

5洋ナシ 
使用する直前に酵母種をすりつぶした
『すりつぶし洋梨酵母の白パン』


6.jpg 
酵母の香りや味から、どんなパンを作るか
アイデアを練るそうです。
手前が『キンモクセイ酵母のリュスティック』
「プルーン酵母」や「りんご酵母」などなど
さまざま揃います。

県外からもお客が訪れるほか、
通販“通パン”も人気だそうです。
 (H27年11月15日号掲載)


【ショップ情報】
住所:埼玉県さいたま市浦和区大東2-15-1
毎木曜日と土曜日 10:00~売り切れ次第終了

サンセリテ 北の小麦 世田谷店(東京都世田谷区)

注目の店舗

外観 
埼玉県狭山市に本店を持つ
サンセリテのオーナーシェフ・高田知明氏が
満を持して昨年5月、東京の世田谷区に進出。
狭山の本店では食パンを一日500個売るという
高田シェフはメーカーや勉強会などの
製パン講師などの経験も豊富。


十勝小麦のおいしさを
伝えたい
先般北海道・十勝の小麦を使用した
旨味の濃いパンを開発し、
それを販売するための場所を探していたところ、
パンの激戦区といわれる
世田谷エリアでの出店となった。

良い材料を使用したパンは
値付けが高くなってしまい、
パンに理解の深いお客様が多い地域で
勝負したかった
と出店理由について話す。

看板メニューは『天熟食パン 十勝』
名前の由来は“天然酵母”と“熟成”を
合わせたもの。
小麦粉の灰分が高く、
またバターを豊富に練り込んでいるため
生地色はほんのりとクリーム色。
しっとりもっちりとした食感で
噛みしめると旨味が広がる。

食パン 
『天熟食パン 十勝』(378円)と
『同 オリジナル』(291円)で、
同店売上の10%を占める

「お客様のためのパンを」
26年前、実家のパン屋さんを継いだ当初、
自家製酵母種への探求とハード系などに傾倒し、
“お客様よりパンの開発”を優先した結果、
売上は芳しくない状態に。
その後、さまざまな勉強会に参加したり、
経営コンサルタントの講演を聴くうちに、
“売る”ことにも興味を抱き、
“自分のこだわりを捨てて
 お客様のためのパンづくり”
シフトを変えた。

以前はパンをつくることが楽しくて、
そちらに没頭しすぎてお客様には
支持されていなかった。
やはりお客様に向きあった経営は大事
と振り返る。
高田さん 
▲ルノートルで3年半修業ののち、
実家のベーカリーを継いで26年の高田シェフ

独創的なパンがいっぱい
例えば『ザクトロ』は、
昨年のパングランプリ東京の優勝作品。
アーモンドダイスをまぶした生地に
生クリームたっぷりのクリーム入り。

ザクトロ 
▲2015年パングランプリ東京
優勝作品の『ザクトロ』(216円)。


「マカデミアナッツを食事パンに生かしたい」
考えオリーブと合わせた
『ねっこパン』などユニークな着想が光る。

ねっこパン 
▲マカデミアナッツとオリーブを
入れたフランスパン生地を捻って
食感を引き出した『ねっこパン』(324円)

今後は通販を拡大したり、
世田谷近隣に小規模な
厨房を備えたサテライト店出店を
視野に入れているという。
(2017年4月15日号掲載)

内観 


【SHOP DATA】
住所:東京都世田谷区世田谷3-11-12
営業時間:8:30~19:00月曜定休
最寄駅:世田谷線上町駅

ピーターパンJr(JR千葉駅内)

注目の店舗

外観

千葉県船橋市を中心に郊外型大型店舗を運営するピーターパン(大橋珠生社長)が千葉駅の商業施設 “ペリエ千葉エキナカ” に ピーターパン Jr .を開業して昨年11月のオープン以来、連日の行列が続いている。

駅ナカで“千産千消”が
大ヒット、連日の行列。

店が位置するのは、中央改札内、成田線と総武本線のホーム階段に続く通路。売り場面積約7坪という店内は、常に満員で店舗前に入店待ちの行列ができている。そして電車が到着するたびに、降り立った乗客が行列の最後尾へと並んでいく。

店内

ぎっしりとパンが置かれた棚には、
「焼き立てができました」
との従業員の掛け声とともに商品が並べられ、並べた端からお客がトレイに盛り込んでいくような状況だ。

棚

同商業施設のテーマが千葉県産を千葉で楽しむ “ 千産千消”であることから、同店限定メニューは千葉県産豚製ソーセージを使用した『ホットドッグ』や千葉県名産ピー ナッツのペーストを使用したピーナッツミルキークリームを入れた『ミルキーフランス』など。

また人気ナンバーワンの『元気印のメロンパン』はクッキー生地は常温では作業できないくらい油脂の配合が多く、またパン生地もブリオッシュに近いリッチな生地。

メロンパン
▲『元気印のメロンパン』(140円)

カレーパン
▲こちらも人気が高い『カレーパン』(180円)
牛肉をたっぷり入れた自家製フィリング入り


アイテム数は50~60点程で、平日でも150万円近くを売り上げる。

狭い厨房でも
“焼き立て”にこだわる

売り場7坪、厨房23坪程度の面積だがポリシーは“焼き立てを提供する”として、厨房はフル回転で商品の約6~7割を製造。

リタード可能な菓子パン生地、調理パン用のパンなどは、近隣の店舗や自社工場から配送で対応。

デッキオーブン2台、コンベクション3台、ホイロ2台半、ミキサー1台、フライヤー2台という設備がひしめくが、それでも売上に対しての設備が不足して思うような品揃えができないことが悩みという。

店のコンセプトは
“マイステーション、マイベーカリー”

駅の構内や総武線や成田線の車内で、待ちきれずにアツアツのパンを頬張る学生さんの姿。そんな活気を損なわないよう販売員には電車のダイヤに合わせてスピードを重視したレジ・サッカーを心掛けるように指導しているという。

購入客がセルフで会計できるスタイルの最新のレジスターを導入し効率化はアップしたものの、顧客接点が減っているので販売員の笑顔と一声かけるコミュニケーションが大切であると感じているそうだ。
(平成29年1月15日号掲載)


【SHOP DATA】
住所:JR千葉駅中央改札内
最寄駅:鳥取駅から車で5分
TEL:043-445-8361
営業時間: 月~土7:00~22:00、
日・祝9:00~21:00
 定休日なし

スペイン石窯パンの家ボノス(鳥取県鳥取市)

注目の店舗


ボノス外観
▲シンボリックなスペイン石窯やテラス席を備えたロケーション


鳥取駅から車で5分、今年1月にオープンした大型ベーカリー。
“鳥取にスターバックス初上陸”で話題になった地域での
本格的手づくりのパン屋のオープンも大きな話題を呼んだ。
現在も週末は1日約700名が来店するという大盛況となっている。



パンを通じて
地域のお客様との絆を深める店に



異業種からの参入
同店を運営するのは㈱アマドの加藤志野オーナー
母体企業は加藤氏のご主人が経営するうどんのチェーン店。
ベーカリー経営は同店が初めてという異業種からの参入である。
開業のきっかけとなったのは、うどん店の開業展開が一段落し、
他業種で新たな道を開いていこうというものだという。
開店にあたり加藤さんのベーカリーへの熱い想いがあった。

「松江市に出かけたとき、“石窯パン工房 森のくまさん”という
ベーカリーに出会い、こんな素敵な雰囲気の店を
ぜひ自分でもやってみたいと思った」


この店は、ベーカリー開業をプロデュースする㈱ダイユーが携わった店。
加藤さんも早速開業に向かって動き始め、今年1月に完成した。


中身がしっとりとした
石窯ならではのパンを提供
 
ボノスの核となるシェフは、立ち上げのリーダーとして店づくりを行ってきた
ダイユーの製造指導員である濱口知之氏。
目玉は何と言ってもスペイン石窯で焼き上げたアイテム類。
この石窯は、煙道を利用してパンを焼成する仕組み。
煙道とは、燃焼室と呼ばれる場所で温度を上げ、その熱を逃がす道のことで、
庫内を均一な温度に保ちやすく、比較的短時間で焼成できるため
パン表面のカラメル化が早く進み、中に水分が残った状態で仕上がるため、
時間が経っても中はしっとりした食感を保つことができるのが特徴。

同店の一番人気は『塩パン』
オープンから数ヶ月間の土・日には、1日1,300個以上を販売した。
できるだけ焼きたてを提供しようという考えから、
焼成回数や焼き上がり時間は日々データを取りながら
細かく調整してゆき、
現在は1日に13回ほど焼成している。


塩パン
▲店舗売上の1割を占めるという人気の『塩パン』(100円)


その他の人気商品は『プレミアムクリームパン』(210円)。
仕込み段階で自家製のカスターを少なめに注入しておくと、
焼成後にカスターの重みでパンの内部に空洞ができる。
その空洞部分に、自家製カスターとホイップした生クリームをあわせた
ディプロマットと呼ばれるクリームをさらに注入して仕上げる。
揚げたてにこだわる『国産牛肉しあわせのカレーパン』(170円)
濱口リーダーオリジナル商品『チーズの羽』(140円)も人気。

クリームパン
▲2種のクリームがおいしい『プレミアムクリームパン』(210円)


自社スタッフの育成に注力
オープンから半年、来店客数や売上は順調にクリアしている。
濱口リーダーの現在の課題は、リーダーの育成。そのために

「技術はもとより、パン職人にとって基本的な体力となる
“考える力”を伸ばすような指導が大事」


と話す。店名の「ボノス」は、スペイン語で「絆」という意味。

「パンを通じて地域の住民やお客様、
また同店で働く スタッフとの絆を深めていきたい。
スタッフはできる限り正社員として採用し、
できる力を発揮してもらいたい」


と語る加藤オーナー。
将来は、この地に支店を展開する目標も視野に入れている。

加藤さんと濱口さん
▲オーナーの加糖さん(左)と濱口リーダー(右)

(平成28年8月15日号掲載)


【SHOP DATA】
住所:鳥取県鳥取市立川町5-233-1
最寄駅:鳥取駅から車で5分
TEL:0857-30-5410
営業時間: 7:30~19:00 定休日なし
アイテム数:約100種
(食事パン・ハード系20、サンド20、菓子40、調理20)

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